6月8日~11日知床岳巡視_3日目

2020年6月18日

6月8日~11日実施の知床岳巡視記録。以前の記事はコチラから。
ルサフィールドハウスのブログからも記録をご覧いただけます。

●記録は巡視時のものです。
●先端部地区の山に登山道はなく、ヒグマの高密度生息地です。出発の前にはルサフィールドハウス、羅臼ビジターセンターへ必ずお立ち寄りください。


6月10日、沼の対岸1132峰とその奥の山塊まで視界あり。
知床岳山頂往復12時間を見越して、4時50分出発。

前日の偵察どおり沼の周囲を進む。これだけでも迷う、目印のない湿地帯である。
1132までほぼ直登。
斜度が緩やかになりヤブの中から空が開けて見え、薄ぼんやりと1132ピークだと気付く。
しかし人ひとり腰かけるスペースもないのでそのまま稜線ハイマツ帯に突入。

躊躇不要、目の前のササとハイマツを掻き分け進む。迷い、戻り、また進み、繰り返し。

緑一面のハイマツ帯。1243を望むこの地点から山頂までまだ2時間以上かかる。
ここで雨天、強風なら引き返しが無難。帰路は同じ行程(=同じ労力)であることを常に念頭に。

1243 へ向かう雪渓の末端から刈り分けを見つけるのは困難。ヤブの薄いところを狙って直登。
視界不良の日は厳しいだろう。

容赦ない幹や枝、ガソリンスタンドの洗車機に入ったような7時間。
ハイマツさん最後のさいごまでありがとう。

山頂。わずかのスペースにもダケカンバが元気に張り出しメンバーの顔見えず…。

知床岳登山者はひと昔前に比較して減少傾向。この後10年も経たないうちに行程はますます困難を極め、しまいには知床沼から日帰り往復さえ厳しくなるかと思いながらトータル13時間でベースキャンプに戻る。


知床岳は 6月でも北風が吹き気温5℃など低温で雪渓も残る環境です。夏山装備では不十分なこともあります。
装備や時間の配分、計画に不備のないよう検討し、
不明点はルサフィールドハウスならびに知床羅臼ビジターセンターに確認ください。

知床財団イナバ