知床の頭山
2019年9月12日
知床世界遺産センターからすぐ近くを流れるペレケ川にカラフトマスが遡上したとの便りがありました。
知床横断道路脇の樹木も薄らと黄色みを帯びてきて秋を感じる季節となってきております。
さてカラフトマスが遡上したペレケ川、その源頭に丸い頭が鎮座している姿をご覧になったことがあるでしょうか。
写真奥に写るとんがり頭の遠音別岳(オンネベツ)と羅臼湖に映る知西別岳(チニシベツ)に挟まれた丸い頭。こちらはペレケ川の源頭に鎮座するペレケ山です。
標高1267m。近付いて見るとほぼ全てハイマツに覆われたハイマツ山で所々大きな灰色の岩が顔を見せています。
山の形は滑らかな丸みを帯びていて人の頭の様です。
山の羅臼側には平坦な台地、通称ペレケ平が広がっており、中には湿原と思われる所も見えるものの これまたほとんどハイマツに覆われておりました。ここはハイマツ天国ですね。
今では知床の縦走路といえば知床連山ですが、数十年前には知西別岳からこのペレケ平を越え 遠音別岳に向かう道が作られていたようで、当時の切り分け跡と思われる切り株をハイマツ帯の中で見付けました。
かつては人の足が幾重にも通り過ぎたと思われるペレケ山への道のりは、今では数多のハイマツに覆われ、その姿はほとんど目にすることができません。
人が利用しなくなることでできた隙間を他の生物が静かに取り合っていったのでしょう。
人が触れることのほとんどなくなったこの山。
一見するとハイマツだけが目に映りますが、その下には数多の生物が生息しています。
ペレケ山はこれからも静かに多くの生物を育む土台となることでしょう。
ハイマツ帯の中では人の痕跡はほとんど見られなくなっていましたが、雪田では今でも古い踏み跡をはっきりと見ることができます。
人の踏圧による影響は思っている以上に大きなものです。
道中ではこんな景色も見られました。
羅臼自然保護官事務所 宮奈